
「子どもにやる気がなくて困ってる。どうやって勉強させたらいいのかな?」
子育て中の友人から、こんな相談を受けることがよくあります。
ここで私がお伝えしたいのは──
勉強に「やる気」は必要ありません
これは感覚的な意見ではなく、心理学や教育学の分野でも示されていることです。
モチベーション研究の第一人者であるスタンフォード大学の心理学者、B.J.フォッグは「やる気は続かない」「行動を変えるには環境と習慣のほうが重要」と明言しています。
Fogg Behavior Model
つまり、やる気が出ないことを責めたり心配するより、行動を続けられる仕組みをつくるほうが、ずっと建設的なのです。
では、何が必要なのか?
私の経験から、効果が高いと思う順に3つ挙げます。
1. 環境づくり――「勉強が当たり前」の空気
進学校に入る大きなメリットは、「勉強が特別なことではなく、日常である」という空気の中で過ごせること。
- 中学受験でがんばって進学校に入ると、自然と周りの子たちも勉強しています。
- 「勉強しなさい」と言われなくても、勉強するのが普通のことに。
- 実際、同じ大学に受かる生徒でも、どの中高で過ごすかによって勉強量や進路選択の幅が大きく変わります。
中学受験前の段階では、この「空気」をつくってくれるのが塾。
- テスト順位や得点が見える化され、子どもたちは互いに刺激を受けます。
- 小学生は特に環境の影響を強く受けるので、「頑張るのが当たり前」という雰囲気が、無理なく行動を変えてくれます。
とはいえ、全員に同じ方法が合うわけではないので、親がその子の性格を見極める目と、安心感を与えるフォローは必要です。
2. 習慣づくり――「机に向かう」が苦じゃない毎日
やる気がなくても、習慣になっていれば自然とやれる。これは大人でも子どもでも同じです。
我が家でやってきた工夫:
- 物心つく頃から、「座って作業する時間」を日常に組み込む
- 最初は、ドリル・塗り絵・折り紙など簡単なものから
- 毎日決まった時間に机に向かう流れをつくる
例:「朝起きたら計算ドリルを1枚」
勉強時間を「非日常のがんばり」にしないことがポイントです。
3. 小さな成功体験――「やればできる」と実感させる
いくら習慣づけても、つらいだけでは続きません。
そこで役に立つのが、成功体験です。
- たとえば、漢字検定のための勉強など、努力が成果に直結しやすいもので「合格体験」を。
- 「がんばったら結果が出た」という経験があると、次のハードルがぐんと下がります。
「また次も頑張ってみようかな」と思えるサイクルをつくることで、勉強への抵抗感が減っていきます。
それでもやる気がほしいときの工夫
子どもがぐずぐずする日、ありますよね。
そんなとき我が家では、ちょっとした遊びや工夫で気分転換を図っていました。
■ 一緒にやる!ドリルで親子対決
- 計算ドリルを親子で競争!
- 「よーいどん」で始めて、スピード勝負。
- 中学受験レベルの計算問題だと、大人でも負けることも…。
また、灘中の漢字パズルを家族で解いたときは、
「これは大人でもわからない!」
「すごい、解けたんだ!」
と、大人が素直に感心する場面が本人の自信にもつながっていました。
■ 小さなご褒美作戦
- 毎日の勉強を「計画どおりできたらシール1枚」などに
- 一定枚数たまったら、ちょっとしたお楽しみ(好きなおやつや、30分テレビなど)
ポイントは、習慣を支えるためのご褒美であり、「ご褒美がないと動かない子」にはしない工夫。
- タイミングや頻度は慎重に
- 「今日は頑張ったね、じゃあこれしようか」という自然な流れがベストです
最後に
一夜漬けで何とかなる定期テストと違い、受験は長期戦。
才能があっても、コツコツ積み上げなければ合格は手に入りません。
逆に言えば、
特別な才能がなくても、
正しい環境と習慣があれば、
ぐっと未来が開ける。
そう信じて、子どもと一緒に少しずつ前に進んでいきましょう。